中国赴任時、初の国内長距離旅行の最終目的地がこのカシュガル。人民元はあるし、中国のどこか端っこに行ってみようとして、たまたま西の端であるカシュガルを選んだ。ウルムチから飛行機に乗ること2時間。これだけで上海―北京の移動距離に匹敵する長さだが、これでも新疆ウイグル自治区の”区内”線でしかないところがすごい。ウイグル自治区そのものが日本の4倍の広さだから無理もない。

ウルムチ空港を出て一路天山山脈を越えていく飛行機。写真だとそうでもないが、えらく低く飛んでいるように感じる。山肌がはっきりと見える割に、人家や道路など人工建造物はまったく無い。こんな人の住んでいないところで不時着などしてもまず助からないだろうなと考えているうちにカシュガル空港に着く。

カシュガル空港は小さい。空港によくある突起物的建物がないのと、周りが砂漠ということもあって、ぱっと見は滑走路というか、”床”である。当然ボーディングブリッジも無いので、このように滑走路を歩いてターミナルビルへ向かう。

カシュガル空港ゲート
カシュガルの街の表通りは普通の漢民族の街並みだが、一歩裏通りに入るとウイグル族の人達が普通に暮らす中央アジアの街角になる。

バザールもこんな感じで、中国とはおもえない。ウルムチも行くところに行けばウイグル族の人達が集まるバザールはあるが、ウルムチそのものが都会なために西域っぽさは感じない。しかしカシュガルまで来ると西域っぽさを増してくる。ラクダこそいないものの、砂漠を旅する隊商が今にも現れ出そうだ。アラブ圏とはまた一味違うイスラムっぽさがいい。

さて、ずっとカシュガルにいるのも飽きてきたので近郊の町アトシュ(アルトゥシュ/阿図什)に向かう。2009年現在は高速道路が開通し、30分で行ける様になったらしいが、自分が行った当初はそんなものはまだ無く、写真のような未舗装の路を延々2時間以上走
る。車は写っていないが、箱型軽自動車なので、揺れは激しい。大型トラックもひっきりなしに通るため、道はデコボコ、砂ぼこりは舞いまくり。しかも人間が8人乗っているため身動きもままならない。そんな中でも爆睡できるウイグル人をうらやみつつ、到着。

アトシュの街はカシュガルよりもさらに情緒があった。街のすぐ外には岩山がそびえ、ふもとにはブドウか何かの農園が広がる。道行く人は圧倒的に漢民族以外の人が多く街の建物もどことなくイスラム風。砂漠の日差しはとても強いが、吹き抜ける風は涼しい。流れる時間ものんびりとしており、まさに砂漠のオアシスである。以前読んだ井上靖や司馬遼太郎の西域関連の描写に感動していたものだが、自分も現実にその世界に立っているような、そんな錯覚も起こさせる街だった。